ファンマーケティングについてお調べですね。
近年のデジタル化の発展と共に、ノウハウをはじめとした情報の透明性が高まり、一般化してきました。
目まぐるしい変化のため、ビジネスのプロダクトライフサイクルもかなり速くなっており、価格競争に巻き込まれる速度も加速しています。
そんな状況を打破する力を秘めているのが“ファンマーケティング”です。
今回は、現代のマーケティングには欠かせないファンマーケティングを用いてビジネスを成功に導くためにはどうすればよいかを解説します。
この記事を読めば、ファンマーケティングについての理解は十分になるでしょう。
成功事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
ファンマーケティングとは?
まず初めに、そもそもの“ファンマーケティング”という言葉についての定義から確認しておきましょう。
ファンとは、「特定の事柄(スポーツやアイドルなど)に対して熱心な愛好者」のこと。
マーケティングとは「顧客を作り出すこと」であり、有名なマーケッター、盛岡毅氏の著書では
マーケティングの本質とは「売れる仕組みを作ること」
引用:USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
ともいわれています。
すなわち、“ファンマーケティング”とは、「特定の分野に熱狂的な愛好者に対して売れる仕組みを作ること」です。
「ファン」の示す範囲はどこまで?
「ファン」と一口に言っても、スポーツファンからカードゲームマニアまで様々なファンが存在します。
抽象的な概念なので、単なる「リピート顧客」だって「ファン」ということができます。
しかし、マーケッターや経営者がファンとして考えるべきは、熱狂的な顧客です。
その商品だけが好き・その会社だけが好きなのではなく、その商品も、作っている会社も好きな人を「ファン」と考えましょう。
したがって、ファンマーケティングにおいて達成すべき事柄は、熱狂的なファンを生み出すことだといえます。
その熱狂的なファンを生み、育てるには優れた商品やサービス。
そして、その企業に対するイメージ(ブランディング)が重要になってきます。
ベンツと聞くと、高級車、高機能、黒色、などのイメージが浮かび、
Appleと聞くと、洗練された美しいデザイン、白色、先進的、などのイメージが浮かぶでしょう。
これこそ、ベンツやAppleの「ブランド・エクイティ(ブランド資産)」です。
高機能な商品でもイメージがよくない企業のファンになる顧客は少ないでしょう。
このように良いブランドイメージを持ってもらうこともファンを生み出すためには重要な要素です。
ファンマーケティングがビジネスに重要な理由
熱狂的なファンの存在は、ビジネスの成功に直結するため、ファンマーケティングは重要な意味を持ちます。
ファンマーケティングを上手く行うことで、売り上げを上げ、コストを下げ、利益率を高め、競合優位性を確立することができるからです。
その原因として、以下のファンの特徴があります。
・リピート購入をしてくれる
・口コミによる拡散力が強い
・トレンドに敏感
・フィードバックに積極的
こういった熱狂的なファンだからこその購買行動により、通常の顧客をターゲットにするよりも売り上げアップやコストダウンにつなげやすいのです。
経済用語のパレートの法則にも、「企業の8割の売り上げを2割の人が作る」といった考え方があります。
まさに、熱狂的なファンはこの「企業の8割の売り上げを作る2割の人」に他なりません。
情報が均質化し、ノウハウが価値を持たなくなった今、ファンマーケティングは競合優位性を高めてビジネスに成功をもたらすためには不可欠といってもよい存在なのです。
油断は禁物!ファンマーケティングの注意点
ファンマーケティングの重要性をお伝えしましたが、良い点ばかりに目が行ってしまうと痛い目を見てしまいます。
ファンマーケティングでうまくいくにはもちろん一筋縄ではいきません。
そこで、ファンマーケティングを行う際に抑えておかなければならない注意点をお伝えしておきます。
注意点2.投資的思考が大切になる
注意点3.ファン以外の層は無視する勇気が必要
詳しく見ていきましょう」
注意点1.放っておけば買ってくれる…わけではもちろんない
ファンだからといって、何も施策を打たずとも商品やサービスを文句なしに買い続けてくれるわけではありません。
従来のビジネス市場においては、マーケティング予算はテレビCMや広告など、新規顧客獲得に割かれていました。
継続的な収益よりも、単発買い切り方のモデルが多かったためです。
しかし、近年は情報化が進み、競合優位性を保つことが難しくなっています。
買い切り方のモデルから、継続課金型のサブスクリプションモデルが出てきているのもその流れです。
見せ方で商品・サービスを販売していた時代から、本質的な価値を継続的に提供する時代へと転換しています。
そのため、ファンマーケティングにおいても大切なのは、ファンを維持するための施策なのです。
注意点2.投資的思考が大切になる
ファンマーケティングに対してかける予算は、単なるコストではなくリターンを求めた投資と考えることが大切です。
ファンというコアな顧客層に予算を割くことは、その分その他の顧客に予算を割けないということになります。
百も承知でしょうが、予算をかけたとしても必ずしも成果が上がるわけではありません。
しかし、熱心的なファンが増えることで、中長期的には売り上げ増加やコスト削減によって利益を確保することにつながりやすくなります。
ファンは大切な「資産」と考えて、投資的な思考で予算を割く判断をするようにしましょう。
注意点3.ファン以外の層は無視する勇気が必要
限られた予算の中で成果を出すことが求められるため、ファン層に絞り込んだ施策を打つためには、ファン以外の層は無視するという決断が必要です。
上で少し触れましたが、ファン層というのは全体でみると多くて2割でしょう。
ファンのみに対して施策を打つと、8割のいわゆる普通のお客さんから反感を買う可能性もあります。
しかし、その8割の顧客層の目を気にして保守的な施策しか打てなければ、やはり熱狂的なファンもできにくく、競合優位性を高めることも難しいです。
ことファンマーケティングにおいては、熱狂的なファン層の構築に惜しみなく投資をし、そのあとにマス層に向けた施策を打つという選択を取ることも必要になってくるでしょう。
ファンマーケティングを成功に導くための条件とは?
ひとたび熱狂的なファンを作ることに成功でき、ファン層を維持することができれば、売り上げは上がり、コストを削減でき、ビジネスとして成功に近づきます。
では、ファンマーケティングを実際に成功させるためには何をすればよいのでしょうか?
手段は様々なので、今回は成功に導くための条件を3つ紹介します。
条件1.顧客との接点を複数作る
条件2.相互交流ができるコミュニティがある
条件3.顧客ニーズに合わせた施策を行う
それぞれ簡単に見ていきましょう。
条件1.顧客との接点を複数作る
顧客とのタッチポイントとなる場をたくさん作り、接触の機会を生み出すことが1つ目の条件です。
単純接触効果といい、何度も目にするものに人間は親近感を覚えます。
かつては情報の発信源といえば雑誌やテレビが主流でしたが、現在はSNSだけでも数十種類はあり、顧客と企業の接点も多様化しています。
例えば、SNSで見かけたサービスをGoogle検索し、ホームページを見てから使いたいと感じてサービス登録をするなどです。
複数の顧客接点を整理することで、まずは入り口となりうる媒体を作っていきましょう!
条件2.相互交流が図れるコミュニティがある
よく「ファンクラブ」などがあるように、ファンマーケティングはコミュニティビジネスといわれることもあります。
イベントの企画や相互交流できる場があるとファンが新規顧客を呼び込み、さらにエンゲージメントを高めることも考えられます。
ファン同士のつながりから結束力が高まり、よりコアなファンとなっていくこともあるのです。
ファンマーケティングを行う際は、ファン活動が行われる土台としてのホームグラウンドの存在を描いたうえで進めていくようにしましょう。
条件3.顧客ニーズに合わせた施策を行う
上記の相互交流が図れるコミュニティがあったとしても、そこにファンを放置しているだけではエンゲージメントは高まりません。
そういったコミュニティの中で、いかに顧客の求める情報を発信するかが大切になります。
必要に応じて適切なタイミングで、プッシュ通知やメルマガと連携を行い、ファンの育成・エンゲージメント向上施策を試していきましょう。
例えば、アイドルのグッズを購入した人に、そのアイドルのライブやイベント情報を発信するなどです。
アプリを利用して利用者の趣味嗜好性を判別し、しっかりと絞り込んで顧客にアプローチしていきましょう。
アプリを使ったファンの囲い込み
スマホの普及が進み、PCよりスマホ、テレビよりスマホとなった今、アプリによって顧客との接点を持つことは非常に重要な意味を持ちます。
企業アプリの種類はとても多いですが、特に多いパターンは店舗アプリやメディアアプリです。
店舗アプリは、実店舗に足を運んでもらうためにプッシュ通知等でダイレクトにクーポンやセール情報を届けたり、ポイントシステムによりアプリ内でポイント貯めることができるようにしているアプリです。
それ以外にも企業独自の機能があり、予約システムや通販機能などを導入している場合もあります。
メディアアプリは、ブログやWebサイトにあるようなコンテンツをアプリで見れるようにしているもので、グルメ、ニュース、ファッションなど様々なジャンルのメディアアプリが存在します。
Webサイトなどとの違いは「スマホとの連動」と「顧客データの収集」にあります。
カメラや位置情報などを使ったサービスを展開可能で、また顧客情報を収集することで自社のマーケティングに活かすことができます。
これらのアプリをファンにダウンロードしてもらい、ファンとの接点を保ち続けることがファン離脱を避けるためには重要です。
アプリ開発は自社でも可能ですが、プロに任せるのも一つの手です。
それらの店舗アプリやポイントカードアプリ、メディアアプリの実績がある会社に依頼することでより効果のあるファンマーケティングを実施することができるでしょう。
アプリの開発方法についてより詳しく知りたい方は以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:アプリ開発の発注する前に知るべきことは?会社選びは要注意!
アプリを使ったファンマーケティングの実際の活用例!
現在はファンのコミュニティもオフラインからオンラインへと移行しています。
Facebookグループなどが利用されることも多いですが、機能に制限があることも…。
カスタマイズしてより柔軟にファン育成をしていくためには、自社アプリの利用がおすすめです。
Pieceでは、パッケージアプリとしての大枠は存在しており、加えて必要な機能をしっかりと作りこみつつアプリ開発を行うことができます。
自社アプリの中でファンを育成することで、より熱狂的なファンの囲い込みを行い、ビジネスの成功につなげましょう!
ファンマーケティングの成功事例
最後に、ファンマーケティングの成功事例をいくつかご紹介します。
成功例を参考にしてあなたのビジネスに活かしてください。
ヤッホーブルーイング
ヤッホーブルーイングは、ファンマーケティングのみに特化するという戦略をとっている、クラフトビールメーカーです。
ファンのみをターゲットにしたイベント企画や、ファン向けの自社レストランサービス「YONA YONA BEER WORKS」を展開しています。
また、自社サイト、自社SNS(Twitter/Facebook/Instagram/YouTube)などを通じた情報発信にも抜け漏れがありません。
H&Mジャパン
H&Mは、「H&Mメンバー」という会員向けプログラムを有効活用しています。
アプリを通じて顧客データを収集し、施策に活かしています。
さらに、ファンに特化した企画を考えており、H&Mメンバーに加入する付加価値を創り出しています。
例えば、H&MグループのファッションショーにH&Mメンバーを招待するというものです。
ファンの中から応募を募り、審査の末にH&Mのファッションショーに2名を参加させました。
こういった企画があると、熱狂的なファンが増えていきそうですね。
まとめ
熱狂的なファンを獲得し、育成してビジネスの成功につなげるファンマーケティング。
価格競争に巻き込まれるのを防ぎ、売り上げを上げコストを抑えられます。
競合優位性をかくとくできるため、現代のビジネス環境では特に優先度を上げるべき施策といえるでしょう。
とはいっても熱狂的なファンを簡単に獲得することはできません。
しっかりとした戦略をもとに、時には大胆な決断を行い、ファンマーケティングを行っていきましょう。