都市への人口流出、産業の縮小、少子高齢化、それに伴って起きる地方財政の圧迫。
地方自治体ではどこも同じような悩みを抱えているのではないでしょうか?
限られた資源を最大限活用するためには、既存のシステムだけではなく、デジタルを用いた新しい技術を導入し、より効率的な自治体運営が求められます。
本記事では、近年導入している自治体が進んでいる、自治体向けのアプリについて解説します。
アプリの導入を考えている自治体職員の方はぜひ参考にしてください。
目次
自治体アプリとは?
自治体アプリとは、文字通り各地方自治体で運用されるアプリのことです。
用途は様々ですが、各地方自治体の持つ機能をアプリに搭載し、自治体運営を効率化することが目的となっています。
ここで改めて自治体の定義を確認しておきましょう。
地方自治法によれば、自治体は、住民の福祉の増進を図ることを基本に、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担い、主として地域における事務を処理する。
このように、自治体の提供するサービスは多岐にわたり、住民の生活に必要なあらゆる情報を発信することが求められます。
地域によっては住民だけではなく、観光客に対しての情報を的確に発信するためのツールとして活用が期待されていることもあります。
自治体の情報発信をアプリ上で行えるようになったものが、自治体アプリなのです。
自治体アプリを導入すべき理由
一般的に地方自治体が行っている情報発信方法は、ホームページに情報を掲載したり、出版物でお知らせをするなどが多いのではないでしょうか?
総務省の令和元年通信利用動向調査によると、スマートフォンの保有状況は83.4%、情報通信機器の保有状況は96.1%と、ほとんどすべての人がインターネットにアクセスできるようになっています。
スマートフォンの普及も年々格段に増加しており、情報発信の方法もシフトしていくことが求められています。
本章では、自治体がアプリを導入するべき理由を3つ紹介します。
理由2.必要な情報の迅速な伝達が可能になる
理由3.観光業を盛り上げることにつながる
理由1.コスト削減になる
自治体アプリを導入することで、かなりのコスト削減が期待できます。
現状だと紙媒体を通じて情報発信をしている自治体がまだ多いですが、アプリを通して発信することができると作業も効率化し、紙に印刷して本にして各家庭へ届けるという工程がなくなります。
従業員にかかる負担も軽減するため、別の業務に充てられる時間も増えるでしょう。
理由2.必要な情報の迅速な伝達が可能になる
アプリで情報発信を行うことにより、最新情報をすぐに発信できるほか、1つの媒体であらゆる情報を得ることができるようになります。
どうしても紙媒体を経由すると情報が届くまでに時間がかかってしまうため、情報のリアルタイム性が失われます。
特に災害時など急を要する情報は、的確に素早く住民に届くことが大切です。
また、1つのアプリ内ですべての情報にアクセスできるようになると、住民の情報の取りこぼしも防ぐことができます。
紙媒体だとなくすと見れませんし、ホームページに掲載される情報だと通知が来ないためチェックし忘れてしまいます。
アプリを利用するとプッシュ通知機能などを使って利用者に通知を送ることができるので、重要な連絡を見逃してしまうことも防げるでしょう。
理由3.観光業を盛り上げることにつながる
現在はコロナウイルスの状況で一時的にインバウンドの外国人観光客は難しいですが、訪日外国人は年々増加しています。。
日本政府観光局(JNTO)のビジット・ジャパン事業開始以降の訪日客数の推移によると、2010年~2019年の10年間で、 約679万人から約3,188万人と約4.7倍に増加しました。
訪日外国人が訪問した際に、日本語表記しかなくて観光を楽しめないという状態にならないように、アプリを用いて言語対応をさせておく必要があるでしょう。
インターネットに接続可能なアプリ上であれば、多言語化のハードルはそこまで高くありません。
自治体アプリを利用してリピート客に向けたプロモーション施策を打つこともできるため、観光業を盛り上げることにもつながるでしょう。
自治体アプリに盛り込みたい機能
自治体アプリをいざ開発する際にどういった機能が必要なのでしょうか?
これだけは入れたいという機能を紹介します。
・地図・交通手段の確認機能
・公共施設の利用予約機能
・緊急時の情報提供機能
プッシュ通知機能
プッシュ通知機能は、住民に必ず確認してもらいたい情報を通知し、スマートフォンにプッシュ通知を送ることのできる機能です。
イベント情報や新規サービスについての周知をするのに役に立ちます。
大切な情報を住民に伝えるには必須の機能といえるので、必ず盛り込みたいところです。
地図・交通手段の確認機能
特に観光客が利用する際に必須となる機能です。
観光名所までのエリアの地図や、交通手段の確認ができる機能があると便利です。
自治体が運営している無料バスなど、大手の乗り換えサイトなどでは確認できないものも確認することができると、観光客ではなく住民からしても必要とされるアプリになるでしょう
公共施設の利用予約機能
主に住民向けとなる機能です。
公民館や体育館、テニスコートなど、自治体が運営する公共施設の利用状況の確認や利用予約がアプリ上でできるとよいでしょう。
今だに電話や見づらい予約サイトで管理されている自治体も少なくないため、アプリの導入を見直しのきっかけにされるとよいですね。
緊急時の情報提供機能
2020年7月の九州中心に被害が出た豪雨や、関東中心に被害をもたらした2019年9月の台風19号など、ここ最近災害による影響が大きくなってきています。
急を要する災害が起こった際に、迅速に正しい情報を住民へ伝えなければならないため、緊急時の災害に関する情報などは提供できるようにしておく必要があるでしょう。
避難経路が分かるような機能があったり、最寄りの避難場所がすぐにわかると災害が起こった際にも迅速な非難を促すことができます。
自治体アプリの導入事例
自治体のアプリは全国的なプロモーションなどは打たないため、ほかの自治体のアプリを知る機会があまりありませんよね。
実際に時自体で導入されているアプリにはどういったものがあるのか、実際の導入事例を紹介します。
奈良観光公式アプリ|奈良県
奈良県が提供している、観光に特化した公式アプリです。
奈良観光公式サイトであるあおによしなら旅ネットに登録されている観光施設やイベントの情報を地図やジャンルなどから検索することができます。
その日に行われいるイベントを検索することもできるため、奈良県を訪れる観光客はもちろん、住民も便利に利用することができます。
App Store:奈良観光公式
Google Play:奈良観光公式
横浜市ごみ分別アプリ|横浜市
横浜市民のための、ごみの収集情報を確認できるアプリです。
ごみの分別方法や出し方など、生活に欠かせない語見出しに関する情報をアプリで確認できます。
また、分別方法が分からないごみの品目を入力すると分別方法や出し方を教えてくれる機能や、ごみ収集日をカレンダーに登録できる機能もあり、便利です。
App Store:横浜市ごみ分別アプリ
Google Play:横浜市ごみ分別アプリ
目黒区防災マップ|目黒区
目黒区内の避難所やAED設置施設、給水地点の場所などを地図から探すことのできる区民向けのアプリです。
避難所のほかにも医療救護所や警察署、消防署の場所を確認することができ、コンパスを利用した目的地までの案内機能もあるため、実際に災害が起きた時でも利用することができます。
非常時に備えて知っておきたい知識もアプリ内で知ることができるので、目黒に住んでいない人でも役に立つアプリといえるでしょう。
App Store:目黒区防災マップ
Google Play:目黒区防災マップ
運行管理システム|大阪市
大阪市環境局では、ごみの収集業務の業務改善のため運行管理システムを導入しています。
運行管理システムは、車両に取り付けられたドライブレコーダーの情報とクラウド上のシステムが連携し「走行の軌跡」「危険運転の検知」「ドライバーの自動評価」などを一元管理することができるシステムです。
それらを利用することで「市民サービスの向上」と「業務効率化」に成功しています。
まとめ
今回は自治体のアプリについて解説しました。
時代の転換・技術の発展と共に自治体でもアプリを導入し、住民の安全やよりよい生活をサポートしていくことが求められます。
自治体の業務を削減することや、観光業を盛り上げることにもつながるため、まだ導入していない自治体はぜひこれを機会に検討してみてはいかがでしょうか?
この記事がお役に立てば幸いです。