近年、VR、ARやMRなど、仮想空間を活用した技術が企業のマーケティングで利用されるようになっています。
ゲームにも搭載されるようになってきているので体験したことがあったり、一度は耳にしたことがあるかと思います。
しかしVR、AR、MRの違いをご存知でしょうか。
そこで今回は、今後より一層技術が発達するであろうVRやAR、MRについて企業のマーケティングの活用方法をメインにご紹介します。
VR・AR・MRの違い
この3つそれぞれどのような技術かわかりにくく、混乱しやすいかもしれません。
これらはいずれも仮想の世界を体験できる技術ですがそれぞれ内容が異なります。
VRとは
VRとは「Virtual Reality」の略語で、一般的に「仮想現実」と訳されます。
特徴は人間の視覚・聴覚・触覚を刺激し、主に、VRゴーグルというゴーグルをつけることで視界が仮想空間の中にいるように感じることができます。
360度カメラで撮影されたものが投影されているのでどこを見渡しても仮想空間ということが実現できます。
VRは、1960年頃から技術的な開発が行われていました。2016年は、VRのゲームなどがたくさん発売され、VRが本格的に普及し始めたことから「VR元年」と言われています。
ARとは
ARとは「Augmented Reality」の略語で、一般的に「拡張現実」と訳されます。
スマートフォンやタブレット端末などを使用して現実世界にCGで映像を映し出すことができる技術のことです。
VRはCGによって作られた仮想世界を指すのに対し、ARは現実世界を中心にしてCGを利用しているということです。
ARは細かく分けるとビジョンベース型とロケーションベース型の2つのベースに分けることができます。
まずビジョンベース型とは、視覚をベースとしたARのことで、 QRコードのようなマーカーを読み込むタイプのものと、空間や物体を認識するタイプのものがあります。
マーカーを用意しないという点でマーカーレスタイプは便利ですが、その分実際の空間などを認識するために処理も膨大になってしまいます。
一方のロケーションベース型はGPSなどの位置情報機能を利用したARで、比較的取り入れやすいGPS機能を使うことで実装しやすくなりますが、精度の面で課題が残る部分もあります。
MRとは
MRとは「Mixed Reality」の略語で、一般的に「複合現実」と訳されます。
MRも専用のゴーグルが必要ですが、CGで作られた仮想世界と現実世界を組み合わせて融合する技術のことです。
CGを現実世界に映し出すという点は、ARと類似していますがVRのように両手を自由にした状態での体験が可能です。
特にMRは今後の発展に来たいされている技術であるため、まだまだ実例は少ないのが現状です。
しかし近い将来、映画のように空間に映し出されるモニターを手で直接操作ができるようになるかもしれません。
VRを活用した成功事例
では、まずVRについて。
この技術を活用してマーケティングを行い、成功している業界・企業はたくさんあります。
今回は不動産業界、自動車業界、観光業界の成功事例をご紹介します。
VR内見|NURVE(ナーブ)
VRの技術が活躍しているのは不動産業で、大きな衝撃をもたらしました。
VRを導入することで、物件のパノラマ撮影などの撮影業務が楽に、反響を獲得するのが楽になります
またVRでの内見も可能なので、顧客は実際に物件に行く必要がなくなるうえに大きな特徴は売上アップに直接つながるということです。
現地を案内する前にVRで内見しておくと「思っていたのと違った」ということが減り、契約のキャンセルが少なくなることからも約率向上につながったという事例も多いです。
そして「VR内見」という体験を提供しているだけでも集客につながります。
最近の顧客は買い物をする時に「体験」をできたほうが、楽しいと感じ、購買意欲が向上します。
UNIVERSE バーチャルショールーム
次は、自動車業界です。
自動車業界では、株式会社ネクステージが、VR技術を取り入れた新たな在庫確認サービス 「UNIVERSE バーチャルショールーム」 を2019年3月12日より「UNIVERSE名古屋」に導入しました。
VR技術を取り入れたサービスを自動車業界で始めたのは、日本初です。
在庫車両を撮影した映像をVR空間に投影し、専用のVRゴーグルをつけることでユーザーは車両の色合いや形状、内装などの雰囲気が確認できる。これにより、これまでスペックや平面的な画像の確認にとどまっていた他店舗にある在庫車両でも、よりイメージを膨らませながら選べるようになる。なお、在庫車両の内外装の確認にVRを活用したサービスは国内初の試みである。
引用元
https://autoc-one.jp/news/5003999/
車両の内装も実際に車に乗っているかのように見ることができ、店舗の在庫車両も確認できるので、わざわざ違う店舗に行く必要もありません。
自動車メーカーでは、ほかに「Audi」や「Volvo」もVRを使って車を見ることができるようなVRを使ったマーケティングを積極的に行っています。
VRでハワイやバリ島などのホテルを360度ぐるっと見学
これは、旅行会社H.I.Sが行っているサービスです。
観光業では、VRを使って観光地を下見して旅行プランを考えるサービスが始まっています。
ホテルなどの映像をオリジナルのVRゴーグルで見れるので、H.I.Sは「旅行は下見してから決める!」をキャッチコピーにしてこのサービスを宣伝しています。
VRで下見できる場所は
・ハワイ
・バリ
・グアム
・ベトナム
・クルーズ客船
・ウェディング(海外の挙式会場)
これらの6か所です。
オリジナルの専用端末「CREWL(クルール)」を使ってVRを見ます。
このクルールは、固定バンドがないので、髪型が崩れる心配がなく、メガネをかけている人でも見ることができます。
機会の扱いが苦手な人や子ども、シニアの世代の人も気軽に使えるように工夫されていますね。
【番外編】VRトラベル
不動産業のところで紹介した「NERVE(ナーブ)」という会社は、様々な業界でVRを使ったサービスを行っていて、観光業でも「VRトラベル」といサービスを提供しています。
VRトラベルはバーチャルリアリティシステムによる体験で地方の旅行・観光の魅力を伝え、ビジネス成果を向上させる、新時代のクラウド型サービスです。
観光客を増やしたい、観光予約を増やしたい、観光客に楽しんでもらいたい、という会社に向けてのサービスで、VR撮影をする際の支援も行っています。
ARを活用した成功事例
次のARを活用した成功事例にはアプリに導入したものと、ビジネスとして展開されたものもあります。
はじめにアプリに導入したもの、その次にビジネスに導入されたものをご紹介します。
IKEAのカタログアプリ
IKEA Place アプリは、IKEAの気になる家具を選択すると、現実の室内にバーチャルに設置できるアプリです。
アプリにはIKEAのカタログに載っている豊富な種類の家具のデータが入っています。
このアプリのポイントは、バーチャルに設置することによって、実際に設置したときのイメージをよりリアルに知ることができるということ。
家具の大きさはもちろん色合いまで、実際に買わなくても部屋との相性を確かめることができます。
GOOGLE 翻訳の「WORLD LENS」
GoogleアプリGoogle Translateでは「World Lens」といって一部AR機能が使われているものがあります。
みなさんも1度は使ったことがあるのではないでしょうか。
スマートフォンのカメラ機能を使って映し出した画面の文字をリアルタイムで翻訳するという機能で、2018年1月時点で世界38言語に対応しています。
Google Translateには、文書翻訳、会話翻訳などの機能もありますが、AR機能が付いたことでよりさまざまな場面で活用できるようになりました。
東京メトロとAR
ここからはビジネスにARを導入した例をご紹介します。
東京メトロでは、自社向けアプリとしてAR技術を使っています。
こちらは、マーカーやマーカーレスの壁を読み込むビジュアルベースタイプで、総合研修訓練センターで利用されている社員の研修・教育のためのアプリです。
AR技術を採用したことによって、研修用のトンネルや高架橋などの異常がiPadで再現できるようになりました。
テキストや写真とは違った現実に近い状況確認技術で、よりシミュレーションがしやすくなっています。
チャンギ国際空港とAR
シンガポールにあるチャンギ国際空港でもスマートグラスを使ったAR技術が使われています。
コンテナのQRコードを読み取ることで搭載方法をリアルに確認できるというものです。
このARを活用したスマートグラスによって荷物搭載の時間短縮が期待されたことで、スマートグラス利用のスタッフを600人に拡大する方向で進められたといわれています。
ご紹介したようにARは活用次第では利便性の高い技術です。
導入の際は、事例を参考にしながらビジュアルベースにするか、ロケーションベースにするかも考えていきたいです。
MRを活用した成功事例
MRの技術はこれからどんどん発展していきますが、すでにMRの技術を駆使した事例がいくつか存在します。
日本マイクロソフト株式会社 ゴジラ・ナイト
2018年、東方とマイクロソフトが連携しAIとMRを使用して等身大118.5mのゴジラを日比谷に出現させるという野外イベントが開かれました。
こちらの参加者は専用ゴーグルを装着し、等身大ゴジラを追撃するというもの。
MR体験を可能にさせたマイクロソフトの「Microsoft Hololens」を使用したMRの野外イベントは日本初だったということです。
もちろんゴーグルをつけた参加者のみがゴジラに気づかず通り過ぎている人々や付近に駐車してある自動車が破壊されているように見ることができました。
これこそが、現実世界と仮想世界の融合の醍醐味といえるでしょう。
MRのその他の活用
他にも、建設現場でのMRの活用が期待されています。
MRで建築物などの完成形の実寸イメージを現実に映し出し、実際の雰囲気や様子を多方面から確認・調整をすることが可能です。
また、医療現場でのMRの導入も進められています。
患者の健康状態や臓器状態を見やすく表示し、手術中の患者情報の可視化に役立ちます。
手術する部位をCGで透視したり、実際の手術部位を確認しながらの手術の流れをチーム全員で共通の認識の把握が可能になるということです。
まとめ
今回は、VR・AR・MRを使った様々な業界のマーケティング、成功事例をご紹介しました。
VRを使用すれば事前に下見をすることで、購入した後に「思っていたのと違った」ということになるのを防ぐのに活躍できる技術です。
ARはVRに比べてより手軽に利用することができ、MRは広告やキャンペーンだけではなく、建築や医療など実際の現場でも有効活用できることがわかりました。
これらの技術を活用したマーケティングは今後も増えることが予想されるので今後の動向にも注目です。