「販促活動のためのアイデアが欲しい」
そんな方に向けて今回は、行動経済学用語を6つ紹介します。
目次
行動経済学とは?
行動経済学を簡単に説明するなら「経済学 + 心理学 = 行動経済学」です。
今まで使われてきた経済学にはある問題がありました。
それは「人は常に合理的な意思決定を行う(合理的経済人)」という前提があったことです。
ですが「人は無意識のうちに非合理な意思決定や行動」をしてしまいます。
そんな、非合理(現実的)な経済活動を研究するのが行動経済学の出発点です。
詳しくは、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」をご覧ください。
アイデアの核になる6つの行動経済学用語
1:アンカリング効果
アンカリング効果とは「最初に印象に残った物や数字が、その後の印象や判断に大きく影響を及ぼしてしまう」という効果です。
この効果はどこのお店でも使われています。
「39800円」このように元の値段が消されており、
その下に赤い字で「29800円」という風に書かれる値札をよく見かけると思います。
この表記を見るとこの29800円がとても安く見えます。
これこそがアンカリング効果です。
最初に「39800円」にアンカー(錨)が刺さったことで、相対的に見て「29800円」とても安く見えてしまう効果なのです。
この効果のポイントは、先に高い価格を見せるという点です。
また、購入者が十分に市場価格を調べている場合には、アンカリング効果は発生しにくいです。
理由は、事前にその商品の適正価格を知っているので「相対的に安い」という風にはならないからです。
2:プロスペクト理論(損失回避性)
プロスペクト理論とは「提示されたもの損失の度合いによって、人の意思決定は変化する」というものです。
プロスペクト理論を説明するためにあるコインの実験を紹介します。
あなたはコインを投げるゲームを行います。
1:コインを投げる場合
表が出ると10万円円貰える
裏が出ると5万円失う
2:このゲームを辞退する場合
辞退すれば2万円貰える
このゲームの選択肢は2つです。
ゲームに参加する「10万円を得るor5万円を失う」かゲームに参加しない「2万円を得る」です。
この質問をした場合、多くの人がゲームを辞退して確実に2万円を貰おうとします。
つまり人は、確実なリターンが手に入る時は、不確実なハイリスクハイリターンを避ける傾向にあります。
なので確実に手に入る利益やメリットを伝えることで、購買欲を高めることができるかもせれません。
3:コルコンドの誤謬・埋没費用(サンクコスト)
コルコンドの誤謬とは「費やした費用や労力などを取り戻せないとわかっていながら、それまでの投資を惜しみ、その後の投資がやめられない状態」のことです。
コルコンドとはイギリスとフランスが共同開発した「超音速旅客機コンコルド」のことです。
実感できるように例を出すと
・ゲームで課金をして、ゲームに飽きてきたけど今までの課金が勿体無いからやめられない
・映画館で見ている映画がすごくつまらないけどここで帰ると映画代が無駄になるから最後までみる
・行列に並ぶのが面倒になってきたけど、ここで列から離れたら並んだ20分の時間が無駄になるからそのまま並ぶ
これが、コルコンドの誤謬(埋没費用)と呼ばれるものです。
なので、ディアゴスティーニなどのように何度かに分けて商品を売っていくことで、
「今更、買うのをやめるのが勿体無い」と思わせることができます。
4:おとり効果
おとり効果とは「ある商品を買ってもらうように誘導するために、あえてほとんど選べれない商品を選択肢として提示する」ことです。
ここではレストランを例にして紹介します。
Aランチ 2000円
Bランチ 1000円
この場合、多くの人は1000円のBランチを選びます。
ですがこのようにすると…
Sランチ 3000円
Aランチ 2000円
Bランチ 1000円
2000円のAランチがよく注文されるようになります。
これは、Sランチは贅沢に感じ、Bランチは貧しく見えるから、間をとってAランチを選ぶようになります。
このような現象を真ん中効果(極端回避性)とも言います。
あえて少し高価な商品を置いておくことで、買って欲しい商品に誘導することができます。
5:保有効果(現状維持バイアス)
保有効果とは「自分が今持っているものに大きな価値を見出し、手放すことに抵抗感を感じる」という効果のことです。
この効果を利用しているのが返金保証です。
よく「全額返金保証」と宣伝している業者を見かけますが、あれはこの効果を利用しているのです。
全額返金保証とすることで、購入のハードルを下げて、
購入してからは「保有効果」が働くので、手放したくなくなり返金はほとんどされないと言われています。
また、「お試し期間」などで一時的に商品をお試ししてもらうだけでもこの「保有効果」が働くので、買ってもらいやすくなります。
6:希少性の原理
希少性の原理とは「希少な(数が少ない)ものほど価値が高いと考えてしまう原理」のことです。
この原理を証明する有名な実験を紹介します。
瓶にクッキーを入れて、被験者に食べてもらい、味の評価をしてもらうと言う実験です。
A:クッキーが10個入った瓶
B:クッキーが2個入った瓶
もちろん1と2では同じクッキーを入れています。
ですが、AよりBのクッキーの方が好意的な評価をした被験者が多かったという結果が出ました。
つまり、数を増やせば満足度や評価が高まると言うものでもないと言うことです。
実は、ダイヤモンドは流通をコントロールして希少に見せているから高価という話もあります。
「今だけ、ここだけ、あなただけ」という風に、希少な雰囲気を出すことが、大きな値段でサービスや商品を売るテクニックの一つなのです。