ネイティブアプリ開発について
ネイティブアプリとは、端末にインストールして使うアプリのことを指します。通常、私たちが「アプリ」と言われて思い出すのは、このネイティブアプリではないでしょうか。
開発にあたり、ネイティブアプリでは「Java」「Objective-C」「swift」と呼ばれるプログラム言語を使用します。「Java」はAndroid端末用、「Objective-C」「swift」はiOS端末用の開発言語として使用されます。
ネイティブアプリのメリットには、以下のようなものが挙げられます。
動作がスムーズで快適
ネイティブアプリは、初回にアプリを動かすために必要なデータをすべて、デバイス側に保存しています。このため、ダウンロードデータを除く、アプリの動作は端末の処理速度に依存します。高性能な端末であればあるほど、速くスムーズに動かすことができるようになります。
自由度が高く、複雑な仕様にも対応出来る
開発言語である「Java」は、アプリ開発にのみ使用される言語ではありません。「Java」はBlu-rayプレーヤーやPOSレジなどにも組み込まれており、意外なところで私たちの生活を大きく支えています。元々、様々なプログラムを組むことが出来るほどの自由度を持っているため、できることが多く、複雑な仕様への対応力もあります。
「Objective-C」はMacのデスクトップアプリケーションの開発にも使用されます。「swift」は2014年に発表された新しい言語で、まだ汎用性は高くありません。
オフラインでも作動する
前述の通り、動作に必要なすべてのデータがあらかじめ揃った状態で起動されるため、インターネット環境のない場所でも問題なく動作します。起動時に会員情報を読み込まなくてはならない一部のゲームなどの例外はありますが、認証後にはもちろん、オフラインで動作が可能です。
プッシュ機能など、端末に付属した機能を利用できる
プッシュ機能はお知らせや告知などをダウンロード後にも端末に直接表示させることができるので、販促アプリにおいては重要な位置を占めます。ネイティブアプリは端末に働きかけ、端末独自の機能を多く利用することが可能です。カメラ機能やスクリーンショットでのシェアリング機能も同様に、アプリ側から端末を連動させることもできます。
こうしてメリットを挙げてみると、いいことばかりのようにも思えるネイティブアプリですが、もちろんデメリットもあります。代表的な例は次の通りです。
言語習得に手間と時間が必要
ネイティブアプリ開発には、専門的な知識とプログラム言語の習得が必要になります。これらは一朝一夕で習得できるものではなく、組み上げられるプログラムの複雑さ、自由さと比例してとても難解なものになります。とてもではありませんが、企業がひとつのアプリをリリースするためだけに習得しようと考えても、現実的ではありません。
開発コストがかかる
自社での習得が困難である以上、アプリ開発にはエンジニアを外部からアサインする必要があります。さらにネイティブアプリでは「iOS」と「Android」の間に互換性がありません。どちらか一方だけ開発する選択肢もありますが、ダウンロード数の確保やユーザーの囲い込みのため、現在ほとんどのアプリが「iOS」「Android」二種類のアプリをリリースして双方に対応しています。サーバ側の開発も含めると実質的にアプリを2つとサーバ側を開発する必要があり、コストがかさむ要因となっています。また、「Objective-C」の使用、および「iOS」の開発にはMac環境が不可欠であるため、開発環境を整えることが必要になります。
マーケットプレイスに登録しなければ、実質配布が困難である
iOSの「App Store」、Androidの「Google Play」など、ネイティブアプリを公開するにはマーケットプレイスと呼ばれる市場に登録しなくてはなりません。Androidの場合は独自開発の上、登録せずに配布しているケースや、iOSについてもiPhone自体をハックすることで、海賊版アプリの配布も稀に見られます。しかし、認知を広げるため、ほとんどのアプリがマーケットプレイスへ登録をしています。
マーケットプレイスにはそれぞれの規約や条件が提示されており、公開に至るまでに審査を通過しなくてはなりません。「Google Play」はそこまででもないようですが、「App Store」はこの審査通過条件が厳しく、リジェクト(公開否認)されるアプリも珍しくありません。
また、マーケットプレイスはリジェクト理由について、詳細な問い合わせが困難です。「リジェクト理由がわからないため、何を修正していいかわからない」といった事案にも繋がるため、開発後にも低いとは言えないハードルが待ち構えています。
なお、企業が利用するための業務系アプリは、特定のユーザーにだけ配布できるVPP(ビジネス向け Volume Purchase Program)という特別なダウンロードサイトも用意されています。(iOS側)
スマホ対応Web開発について
スマホ対応Webとは、一般的にスマートフォンで適切にWebページを表示させることで、ブラウザがあれば動きます。こちらはネイティブアプリと違い、事前にダウンロードやインストールの必要はありません。普段使っている端末以外からも気軽にアクセスできます。
スマホ対応Webは「HTML」「CSS」「JS」だけでも開発できます。Webシステムと同様に制作することが多く、「PHP」「Ruby」などの言語で開発します。
レスポンシブデザインという方法をとれば、パソコンのブラウザでも表示ができるので、ひとつのプログラムでスマホ対応(スマホのブラウザで表示)まで可能です。
有名なスマホ対応Webシステムとしては、Googleマップが挙げられます。Web上で操作が可能、ダウンロード不要ながら、直感的な操作性があり、Webサイトとは一線を画した仕様になっています。他にも、Web上で投稿動画の編集も可能な「YouTube」「ニコニコ動画」なども、スマホ対応Webシステムの代表格です。
スマホ対応Webのメリットは、次のようなものが挙げられます。
プログラム言語の習得が比較的容易である
あくまでもネイティブアプリ開発言語と比べて、ですが、言語習得はそれほど難しくありません。一般個人向けにも専門書が多く出版されている上、Webサイトを作る要領で開発できるため、ネイティブアプリの開発言語に比べて汎用性があるのも特長です。
ブラウザがあればどの環境でも起動できる
パソコンやスマートフォン、タブレット、そしてAndroidとiOSの区別なく、どのような環境でも動きます。そのため、一度開発すればユーザーの環境に左右されることなく利用して貰うことができます。
開発やメンテナンスに柔軟性がある
Webアプリは、更新や修正の手間が少ないのも魅力です。開発途中の仕様変更や機能の追加にも柔軟に対応でき、万が一バグや不具合が起きても、その要因となる箇所の特定もスムーズに行えます。したがって、ネイティブアプリに比べて維持や保守のコストも抑えられます。
しかし、以上のメリットゆえに、状況に応じてこれらがデメリットに反転してしまうこともあります。例えば、このような部分です。
一部の機能を除いて、デバイス制御ができない
ネイティブアプリでは可能なデバイス制御がほとんどできません。プッシュ機能など、一部の機能は使用できる場合もありますが、不具合も多いため、将来的にデバイス制御の必要がある場合は、ネイティブアプリで開発しておいたほうがよいでしょう。
ブラウザを介して使用するため、ネット回線速度による遅延が発生する
ネイティブアプリがデバイス依存の処理速度であるのに対し、Webアプリはネット上のサーバにプログラムを置いているため、どうしても時間的な誤差が生じます。また、プログラムを処理するたびに通信が発生するため、ネット回線速度による遅延も発生します。
集中した市場がないため、認知されにくい
ネイティブアプリのマーケットプレイスに相当する集中的な市場が確立されていないことから、集客や誘致が容易ではありません。認知に繋げるためには創意工夫が必要となってきます。
ハイブリッドアプリ開発について
上記で述べたネイティブアプリ、スマホ対応Webシステムを掛け合わせ、双方のメリット部分を抽出して実用化したものが、ハイブリッドアプリです。開発にはネイティブアプリ・Webアプリ両方の開発言語が必要になります。
有名なハイブリッドアプリとしては、「クックパッド」や「Wikipedia」などが挙げられます。ネット上のサーバに保存されたデータをネイティブアプリで呼び出し、閲覧できるタイプのものです。
「Monaca」などハイブリッドアプリを開発するためのフレームワークも多くリリースされています。
ハイブリッドアプリのメリットは、まさしくネイティブアプリとWebアプリのメリットを共存させられることにあります。
マルチプラットフォーム(iOS, Androidを1つのプログラムで開発)に対応
デバイス制御が可能
これらは、先に挙げた二種類のアプリでは、片方は実行できてももう片方はできない、という一長一短の機能でした。しかし、ハイブリットアプリではこの二つを同時に実現できるというメリットがあります。
WebViewを使用してアプリ内でWebを表示できる
WebViewとは、アプリの機能にWebブラウザを追加するコンポーネントです。ハイブリッドアプリでは、WebViewを組み合わせることで、これまでは複数のアプリを起動しなければ実現しなかったWebの閲覧が可能になりました。
ネイティブアプリ、Webアプリのいいとこ取りのようなハイブリットアプリですが、その分デメリットも生じます。ハイブリッドアプリは機械語への変換へのステップが多いため、ネイティブの処理速度には一歩及びません。さらに、更新が容易に行えるという特性から、マーケットプレイスでの審査はネイティブアプリ以上に厳しいものとなっています。
また、ゲームなど娯楽性の高いジャンルにおいては、複数の音声を一度に再生できないなど、不向きであるといえます。
販促アプリに最適なアプリ形式とは
以上、三種類の開発方法の特性を理解した上で、販促アプリに最も向いている開発方法は、ネイティブアプリと言えるでしょう。実際、企業がO2Oマーケティングなどでアプリを取り入れている場合には、このネイティブアプリ開発で行っているケースが多く見られます。
販促アプリとしては将来のアプリ活用(デバイスの制御など)を考慮しておいたほうがよいでしょう。
今回は、アプリ開発前に心得ておきたい、アプリ開発のプログラム言語関して解説しました。アプリ開発時にはぜひ参考にしてみてください。その他にも、アプリ制作などはジョーカーピースまでお問い合わせください!