スマートフォンの普及によって、いつでもどこでもネットにアクセスできる時代になりました。
これを受けて、ビジネスシーンでもネットを使った集客の必要性が高まっています。
実際にECサイト(Erectoronic Commerce=電子商取引をするためのサイト)やECアプリを普段から使っている人も多いことでしょう。
そこで今回はECサイトと、その中でも通販サイト(オンラインショップ運営)について事例を交えて解説していきます。
目次
ECサイトのアプリについて
これまでのネットショッピングは、webブラウザでの利用が主流でしたが最近ではECサイトのアプリの利用が増加傾向にあります。
一体なぜなのでしょうか。
ECサイトのアプリが普及している背景
「Marketing Research Camp(マーケティング・リサーチ・キャンプ)」で、株式会社ジャストシステムが発表した “ECアプリが普及してきた背景”から、下記2点が理由にあげられます。
①スマートフォンの普及でブラウザ利用が減った
②スマートフォンでWEBサイトの表示が最適化されていないとストレスを感じる。
それでは上記の理由について、詳しく説明していきます。
調査によると『Eコマースで最も頻繁に利用するデバイス』の質問項目で、最も多かったのはパソコンで50.3%、スマートフォンは43.5%。
意外なことに、パソコンで買い物する人が、スマートフォンよりも7.8%多いことがわかりました。
しかし、同会社(株式会社ジャストシステム)が公開した別調査データ
『モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査 2016では、ネットでの買い物を利用する際に使用する機器は、スマートフォンと答えたユーザーが34.0%。
前年度の同調査(10.8%)と比較すると3倍以上でした。
パソコンからスマートフォンでの買い物に少しずつシフトしてきていることがわかります。
さらに興味深いのは、Webブラウザでの利用が減って、2015年10月から2016年8月にかけてアプリからの利用が増加していることです。
Webサービスをスマートフォンで利用した人は、アプリの利用が「Yahoo!」で25,1%から33.8%、「Google」は27,5%→35,7%。「楽天市場」では23,0%→36,0%と増加しました。
これらのことからわかることは、「パソコンからスマートフォンでの買い物利用者が増えた」、さらに「スマートフォンの利用者は、webブラウザよりアプリを利用する人が多くなった」ということです。
以上からECサイトよりECアプリのほうが利用者からは好まれる傾向にあることがわかりました。
ECサイトをアプリ展開するメリット
さらにECサイトをアプリに展開すると、利用者側と事業者側の両方にとってメリットがあります。
利用者側のメリット
・動作が軽快
スマホのブラウザアプリでECサイトを閲覧するとき、通信が混んでいたり、 情報量が多いページを開こうとしたりすると、なかなか動かないことがあると思います。
しかし、ECアプリの場合、アプリ内にある程度のパーツを持っているので、 画面を移動するときの通信料を抑えることができ、軽快に操作することができます。
・他のアプリと連携できる
ECサイトをアプリ化して、他のアプリと連携させることでより使いやすくなります。
例えば位置情報アプリと連携させることで、ユーザーの近くにある店舗を知らせることが可能。
SNSアプリと連携すれば、ユーザーがお店に関するSNS発信をしやすくなります。
ユーザーのSNS発信による拡散は、お店にとっても知名度アップの大きなメリットになりますね。
事業者側のメリット
・アクティブ率の増加
ECアプリを開発する一番のメリットは、ユーザーのアクティブ率が上がることがあげられます。
ECサイトだと、まずChromeやSafariなどのブラウザアプリを開き、そこからさらにECサイトにアクセスしてもらう必要があり、 ユーザーが接触するまでに段階を踏む必要があります。
ECアプリならホーム画面からワンタッチでアクセスできるため、 ECサイトに比べて約10倍のアクティブ率(月1回以上の利用)を見込めるといいます。
また繰り返し通販アプリのアイコンを目にすることで購買意欲が掻き立てられ、商品購入につながります。
つまり滞在時間が長くなればなるほど、購買のチャンスは増えるわけですから、売上アップに直接的につながりやすいといえるでしょう。
・プッシュ通知の開封率増加
アプリによるプッシュ通知の開封率は平均40~50%といわれています。
対するメルマガの開封率は約10%程度と大きく引き離しています。
ECサイトのみで、ユーザーにアプローチする方法は限られていますが、 ECアプリにすることで、Beacon(実店舗の近くにユーザーが来たらプッシュ通知)の機能や、 プッシュ通知機能を使って、顧客への接触頻度を増やすことが簡単にできるのが大きなメリットです。
・O2Oマーケティング効果
O2Oマーケティングは、ネットで集客した見込み客を実店舗に来店させ、購買につなげる企業行動です。
例えばECアプリで興味をそそるコンテンツや限定クーポンの配布などで顧客を引き寄せ、自社の商品を知ってもらうことで、実際に来店してもらい、購買に繋げます。
ちなみにO2Oは基本的に、オンラインからオフラインに顧客を誘導する戦略ですが、その逆である実店舗からECサイトへの誘導も実質可能です。
このようにECアプリを展開することでオンラインとオフライン(実店舗)をバランス良く運営していくことが可能です。
ECアプリの開発をするには
販促アプリを実際に導入するには、まず企画を練るところから始まります。
そして「どんなアプリを、どんな人に使って欲しいのか」を明確にすることが大切。
自社の製品やサービスの性質を見極め、どんな顧客が多いか(若年層が中心なのか、中高年が多いのか等)も、アプリを企画する際の指針になります。
次に、開発環境について考えます。
自社で開発するのか、他社に委託するのかで、コストや準備、リリースまでの期間は大きく変わってきます。
自社で開発する場合は機材、人材の確保が必要ですし、委託する場合は、数ある企業の中から予算や制作実績などを照らし合わせ、適した企業に依頼する必要があります。
その後で実際にデモアプリを作る必要があります。
デモアプリとは?
イメージがあやふやなまま開発を始めてしまうと、ECアプリを開発する目的とずれたものができあがってしまうことも。
それを避けるために企画段階で実際の完成イメージをつかむことのできるプロトタイプなどのデモアプリを作りましょう。
プロトタイプはアプリがどのように動くか実際に触って確かめることができる、アプリの試作品のこと。
プロトタイプを作成するときは、専用のツールが使われることが一般的で、ツールによって対象の機能や機種は限られるため、デモアプリで体験できる機能も限られてしまうこともあります。
それでも、企画者と開発者、アプリ開発を外注する場合は、 開発会社の担当者と発注の担当者がコンセンサスをとり、 スムーズに開発を目指し、必要な機能が搭載されているか逆に不必要な機能がないのか確かめる ためにも重要なプロセスです。
アプリ開発会社選び
とはいうものの、デモアプリも作成するにはプログラミングスキルが必要になるため、自分で作るのが難しい場合は外注することになります。
デモアプリ含めECアプリ開発を外注しようと考えたとき、重要になるのがアプリ開発会社の選び方です。
アプリ開発会社を選ぶときにポイントとなる3点をご紹介します。
①必要最低限の機能に絞って低価格ではじめられる
アプリはいったん完成したあと、ユーザーの利用に応じて、継続して改善する必要があります。
そのため、初めにたくさんの機能を搭載することよりも、必要最低限の機能に絞って、まずはユーザーの反応をみることが先決です。
②ユーザーのアプリ利用の分析ができる
アプリ開発会社を選ぶときは、ユーザーの利用分析が詳しくできるところを選びましょう。
ユーザーが何を求めているのか知り、継続して使い続けてもらうには、ユーザー分析が欠かせません。
③拡張性が高い
ユーザーの利用分析を通して、新たに必要な機能が浮かび上がってきたら、アプリの機能をさらに拡張させるために、少ない機能から始めながらも、将来的には他の機能も搭載できる開発会社を選ぶことが重要です。
会社選びについては詳しく載っているこちらを参考にしてみてください。
ECサイトのアプリを開発する際の注意点
ECサイトのアプリを開発するうえで最も気を付けなくてはならないことが「セキュリティ面」です。
アプリは単独でスマホの重要機能などを利用できるだけではなく、他のアプリと連携して機能することもできます。
よってアプリ開発では、アプリ自体のセキュリティ機能はもちろん、アプリ間での処理によって機密情報が盗まれる危険性も意識しなくてはなりません。
また通販アプリの場合、住所など個人を特定できる情報に加え、クレジットカード情報なども晒される危険があります。
セキュリティの脆弱性が原因でお客様に多大なご迷惑をかけないためにもセキュリティ対策で意識すべきは、この3点です。
①パーミッション設定で対策する
②SDカード利用に注意する
③リバースエンジニアリング対策を徹底する
パーミッション設定もリバースエンジニアリングで読めるソースコードの設定も、開発時に設定を加えたり、ソースコードを難解にしたりするだけで脆弱性はかなり緩和されます。
SDカードは、たとえば通話アプリで連絡先をSDカードに保存している場合、外部からの攻撃で情報を盗まれるリスクがあります。
誰でも閲覧できるSDカードではなく、端末本体に保存できるよう設定するなどの工夫が必要です。
セキュリティ万全の通販アプリを作るために
実際にアプリ開発に取り組む段階に進んだらセキュリティ面において情報の共有をアプリ開発会社と行いましょう。
とくにセキュリティ面は、ある程度のガイドラインが用意されていますが、単純にガイドラインに沿ったものを作ってもらうだけでは不安です。
アプリ開発会社に丸投げするのではなく、お互いのセキュリティに対する考え(どの程度のセキュリティにするかなど)を共有するためにも、専門用語で的確な情報共有ができる知識は必要です。
そして開発会社には、リリース前にもリリース後にもチェックしてくれるセキュリティレビュー担当者のプロジェクト参加を依頼しましょう。
納期を早めたり料金を削ったりするとセキュリティ関連のチェックは簡素となりがちです。
多少金額が高くなっても、トラブルリスクを減らしアプリのセキュリティ対策を万全にすることで他社との差別化にもつながります。
ECアプリの開発は、セキュリティ万全な「Piece」におまかせください。
他にもプッシュ通知やクーポンなどの基本機能が標準装備で、ほかに必要なカスタム機能を追加できます。
使い勝手のよい通販アプリの開発を承りますので、お気軽にご連絡ください。
売れているECサイトの事例
以上の点を踏まえて売れているECアプリを3つのジャンルに分類してご紹介します。
有名ECアプリ
- ZOZOTOWN
ファッションECサイトで話題を集めている『ZOZOTOWN』は、52万以上ものファッションアイテムが揃っています。
日替わりクーポンや、その日のお得な情報・お気に入り商品の情報も通知されます。
また、ファッションコーディネートアプリ『WEAR』と連携しており、自分が気に入ったコーディネートから同じ服を購入できるシステムも画期的。
自分でコーディネートするのが得意ではない人も、手軽にオシャレを楽しめるのも人気の秘訣でしょう。
O2O成功アプリ
- STYLER
このアプリはファッションに関する質問や相談をすることが可能です。
全国のショップスタッフが対応し、実際の着用感などより詳しい情報も得ることができます。
メッセージをやり取りしている中で気になる商品が見つかれば実店舗に足を運び試着することでお買い物の失敗も防げます。
お買い物後も、購入した商品のおすすめのコーディネートや旬の情報など引き続きコミュニケーションをとることもできるというものです。
- 赤ちゃん本舗
こちらは実店舗からECサイトに誘導するタイプで店舗の一部にタブレットを並べ、店内にいながらにしてオンラインで注文する「ネット通販」が話題になりました。
会計はその場で行い、最短で翌日以降の配達を行っています。
若者の車離れが進む現代、ベビーカーなどの大きな買い物を持ち帰るのも一苦労です。
この購入方法であれば、支払いは店舗で、受け取りは自宅でと、持ち運びの手間を考えずに買い物を楽しむことができます。
セキュリティ万全アプリ
- ニトリ
ニトリの通販専用サイトやアプリでは、暗号化技術のSSLやTLSが導入されユーザーの個人情報を守るためにセキュリティ対策を行っています。
また、クッキーの設定を推奨しており、設定していない場合は注文画面へすすめない仕様です。
ニトリの例のようにひとつのシステムに頼りきらず、リスクやトラブルを想定した複数の対策をすることが大切です。
まとめ
今回はECアプリを展開するメリット、開発する際の手順や注意点、実際に成功しているアプリの事例をご紹介しました。
現代におけるマーケティング戦略で大切なことは、オンラインとオフラインのどちらか一方に偏ることのない運営を行うことで、ECアプリを開発するメリットはユーザーにとっても、事業者にとってもたくさん。
これを機にセキュリティ万全で売上アップにつながる効果的なECアプリを展開してみてはいかがでしょうか。