現代は多様なコミュニケーションツールが発達したことにより、企業が以前よりもユーザーの声を拾えるようになり、 効果的にプロモーションできる環境が整っています。
特にSNSやアプリでは、ユーザーとの接点が近いことから、うまく戦略を立てれば集客を見込めることができます。
今回はSNSやアプリを中心に、企業がどのように集客のプロモーションを行っているのか、事例を紹介していきます。
目次
SNSでの集客について
最近、SNSを使って集客に成功している企業が多くなってきました。
たとえば文房具メーカーのキングジムは、Twitterで「中の人」が人気になり、それがきっかけでコラボ商品が誕生したり、一度社内でボツになった企画がTwitterで話題になり、1万以上リツイートされた「円周率ノート」が販売になりました。
Twitterは一度火が付けば、あっという間に拡散するパワーを持つ、強力なネット集客のツールです。
そのほかにも10〜30代の女性に支持を受けているInstagramも「女性」「口コミ」という組み合せで強力なツールです。
また、LINE、Facebookも集客方法に利用されています。
このような、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の、特徴である「人と人との繋がり」や「情報の拡散力」を活かし、企業がSNSを用いて顧客に商品・サービスを宣伝したり、顧客のロイヤリティを高める活動のことをSNSマーケティングと呼びます。
SNSマーケティングでできることは主に2つあります。
まずは、商品やサービスに合わせてSNSを選択することで、特定の対象に絞って宣伝をすることができます。
ターゲット層の年齢やリアルタイムに拡散するのか、視覚的印象に残る画像や動画をメインにするのか、それぞれのSNSの特徴を最大限有効活用しましょう。
そしてもう1つはファンの獲得です。
魅力あるコンテンツを投稿すれば、例え宣伝が目的のアカウントでもファンを獲得することが可能です。
従来の広告では得られなかったファンを獲得することで、企業のブランディングにつなげることができます。
SNSのメリット
■利用料が無料
それぞれのSNSはアカウントを無料で簡単に作れます。
手軽に発信ができる点は大変魅力的で、メールアドレスさえあれば、今すぐにでも発信を始められます。
■さまざまな機器から更新できる
TwitterやInstagramなどのSNSは、スマートフォンやタブレットでアプリをダウンロードすれば使えるので、出先で投稿したり、情報をチェックしたりすることができます。
■タイムリーな情報に強い
SNSの特徴は、情報がタイムリーにチェックできる点です。
今ツイートをすれば、それを多くの人が目にできます。
たとえばタイムセールを実施する1時間前、30分前、実施直前にツイートしてそれが誰かの目に止まれば、「ちょっと行ってみよう」というような集客につながる可能性も高くなります。
■フォロー機能で情報を簡単にチェック
例えばTwitterなら、気になるアカウントをリスト化し、フォローをしておくと情報をチェックできます。
SNSのデメリット
■過去の情報になりやすい
SNSはタイムリーな情報にとても強い分、ブームが過ぎた情報や一定の時間が経過した情報は過去の情報に埋もれてしまい、埋もれてしまった情報を探すことが非常に難しいでしょう。
■工夫をする必要がある
これが一番むずかしい点で、アカウントが注目されなければSNSで効果的に集客することはできません。
それには投稿を継続する、ユーザーに応じた投稿内容にするなど運用に工夫が必要です。
また、誰もが知っている人気のアカウントになるまでの道のりは長く険しく挫折してしまう企業も多いです。
メリットデメリットどちらも併せ持つことを理解したところで、次はSNSで集客プロモーションを行う際の注意点を解説します。
インフル エンサー マーケティングとは?
SNSを使用しての集客と方法で共通するマーケティング法としてインフルエンサーマーケティングがあげられます。
インフルエンサーマーケティングとは、インスタグラマーやユーチューバー、芸能人などをはじめとした各種メディアで強い影響力をもつインフルエンサーに企業の商品やサービスを紹介してもらうことで、消費者へ購買活動を促すマーケティング手法です。
インフルエンサーの定義、インフルエンサーと聞くとネットの有名人というようなイメージがあります。
基本的にはその認識でも問題ないですが、もう少し詳しく解説するならインフルエンサーとは多くの人に影響を与えられる「影響者」という意味です。
主にブログやSNSでの情報発信をしている人物を指す場合が多いです。
ちなみにインフルエンサーにはそれぞれのもつ影響力の大きさによって呼び方が異なります。
- メガインフルエンサー
SNSのフォロワーが100万人以上。
一部の芸能人やモデルが当てはまる。
- ミドルインフルエンサー
SNSのフォロワー数が10万~100万人。
特定のジャンルで有名なインフルエンサー。ファッションや美容などの競争率が高いジャンルで大きな認知度誇る。
- マイクロインフルエンサー
SNSのフォロワー数が1万~10万人未満。
芸能人だけでなく、一般人も含まれます。
特定のジャンルにおいて強い認知度と拡散能力を持ち、そのジャンルに焦点を絞った投稿が特徴。
フォロワーも、その人の情報に興味を持っている場合が多く、自社の特定の商品やサービスを紹介してもらうなら一番効果が期待できるインフルエンサーです。
- ナノインフルエンサー
SNSのフォロワー数が1000人~1万人。
主に2パターンのナノインフルエンサーがいます。
①有名人とはいえないが、極めて局所的ジャンルで範囲で影響力を持っている。
②また、特定のジャンルについて発信しておらず、日常生活について発信している。(インフルエンサーマーケティングには不向き)
インフルエンサーマーケティングのメリット
一番のメリットは自然に宣伝ができることです。
バナー広告やYoutube広告などを使って自社の商品やサービスを宣伝することはできますが、「また広告か…」というような印象をユーザーに抱かせてしまい、良い印象にはなりません。
ですが、自分が好きな人(インフルエンサー)が紹介している商品やサービスならユーザーも喜んで興味を示してくれるでしょう。
ですが、自然な宣伝になりすぎてしまうことで「ステルスマーケティング(ステマ )」と疑惑をかけられてしまう恐れがあります。
ですので、商品やサービスを紹介してもらう場合は「〇〇提供」のような文言を添えてもらうなど、広告・宣伝ということが分かるようにしておく必要があります。
そしてブランディングにも影響するのがこのインフルエンサーの起用。
というのも、インフルエンサーの持つイメージを自社の商品やサービスにも持ってもらうことができるからです。
例えば、美容に精通しており、美しい女性のインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらえば、
その人が持つ「綺麗」「肌が綺麗」などのイメージが商品やサービスにも感じられるようになります。
SNSで集客プロモーションをするときの注意点
インフルエンサーマーケティングも活動拠点はSNS上が中心になりますが、SNSで集客をするときに理解しておくべきポイントがいくつかあるのでご紹介します。
炎上によって会社の信用を失う可能性がある
投稿ひとつで、会社の信用を失う可能性があるのがSNSの最大の注意点です。
どのような投稿が炎上するのかを知っておけば回避できるので、炎上する可能性のある3つのポイントを紹介します。
・モラルの欠いた差別的な投稿
SNS上にはいろんなユーザーがいるため、些細な一言が炎上に繋がることはよくあります。
マイノリティに対する差別的な発言などは特に注意が必要です。
・個人的な意見、投稿間違い(誤爆)
個人のアカウントで個人の意見を言うのは問題ありませんが、
企業のアカウントで担当者が政治的な主張や、特定のサービスや商品に対して意見を言うのは危険です。
過去にも企業の担当者が個人のアカウントと間違えて企業アカウントで個人的な投稿したことで問題になったことがあります。
その投稿が担当者個人の考えであっても、そのような考えがある企業だと思われてしまうことがあります。
継続的な運営の必要性
企業のアカウントを作成しても最初のうちはなかなか投稿を認知してもらえません。
ユーザーにとって有益な情報を発信し、少しずつ投稿を見てくれて情報を拡散してくれるユーザーを増やしていく必要があります。
数千人に届くような発信をするには継続的な運営が必要です。
また、継続的な運営には費用がかかります。
というのも、SNSマーケティングでは投稿頻度が重要です。
日々、ユーザーに対して有益な情報を届けるか目を引くようなコンテンツを投稿する必要があります。
中途半端で投稿ばかりでは、信頼されるどころか企業のイメージを下げる可能性すらあります。
そのためには、SNSマーケティングの担当者を用意するか、どこかの会社に委託する必要があるでしょう。
Twitterにおける集客プロモーションの事例
140字以内で誰もが気軽に投稿できるTwitterは、直接ユーザーの反応をすぐに感じられるのがメリットです。
実際にどのようなプロモーションが行われたのか、事例を見ていきましょう。
モンテローザ
「魚民」「白木屋」などの居酒屋チェーンを展開しているモンテローザは、 これまで店舗ごとに集客を行っていました。
企業が主体となってCMや交通広告でブランディングを図っていましたが、 集客を具体的に可視化できないことに課題を感じていました。
そこで2018年の夏に20代の大学生や社会人をターゲットに、Twitterで来店促進のプロモーションを行うことにしました。
公式アカウントにフォローするとユーザーはプレゼントキャンペーンに参加できたり 、特定のハッシュタグを選んでツイートで呟くとクーポンがもらえたりなど、来店するメリットを与え、 たまたまツイートを発見したフォロワー以外の層を巻き込むほどの注目を集めました。
キャンペーンの効果は大きな成功を収め、クーポンを入手した約1万9千人のユーザーのうち、累計4,500人が実際に来店に訪れています。
セブン-イレブン・ジャパン
大手コンビニチェーンのセブン-イレブン・ジャパンでは、7月11日を「セブンイレブンの日」として認知度を高めるために、 Twitterを利用して、来店促進や商品の口コミを増やそうと施策に乗り出しました。
1週間前から「#セブンイレブンの日」というハッシュタグをつけたツイートを投稿してユーザーの関心を呼び寄せ、 当日は7月11日7時11分の時刻に合わせてツイートしたり、プレゼントキャンペーンを行ったりし、お祭りのようなにぎわいを演出しました。
また、他企業の公式アカウントが「セブンイレブンの日」に関連したツイートを呟くことでさらに大きな反響を呼び、 瞬く間に知名度が上がりました。
結果的にセブンイレブンに関連したツイートをしたユーザーは約7万人となり、前年と比べて5倍も増加しました。
無印良品
無印良品が最初に行ったSNSマーケティングはTwitterで「タイムセールなう」とツイートしたことが成功の発端でした。
さらに、SNSクーポンを配ることで店舗へ足を運んでもらい、多くの商品を買ってもらうという戦略も始め、売上を増やすことに成功しました。
「インスタ映え」するような内装作りや商品紹介コラムに力を入れており、綺麗に飾られた店内、思わず買ってみたくなるような商品の写真などを掲載しています。
もともと「ムジラー」と呼ばれるファンがいる無印良品ですが、こういった細かい心遣いが、無印良品が成果を上げている理由と言えます。
Instagramにおける集客プロモーションの事例
Instagramでは写真や画像など、ビジュアルの影響力を活用した集客プロモーションを行うことができます。
IEKA
北欧の大手家具メーカーである「IKEA」では、インテリア業界ならではのブランディングをInstagramで行っています。
IKEAの製品を使った部屋のレイアウトを紹介してユーザーの興味を惹きつけたり、 店舗内に併設されているイートインコーナーやレストランのメニューを告知したりして、 店舗に足を運んでもらえるよう、定期的に情報発信しています。
その他にも自社製品を扱った写真を投稿してもらい、当選者には賞品としてプレゼントがもらえるキャンペーンを実施しています。
一例として、IKEAの製品を使ったバルコニーの風景を募集し、 魅力的なバルコニーを作ったユーザーには「ベストバルコニスト」として、企業から紹介してもらえます。
ユーザーに自社製品の写真を載せてもらうことで、 必然的に製品のプロモーションになり、IKEAのファン層を獲得することにもつながります。
GU
ファーストリテイリングのアパレルブランドであるGUでは、 Instagramの機能を最大限に活用し、来店促進に結びつけるようなプロモーションを数多く取り組んでいます。
新宿にある店舗においては、ユーザーに店舗名とフォトマップを追加してもらい、 Instagramに写真を投稿するとプレゼントがもらえるというキャンペーンが行われました。
また、GUを使ったコーディネートを投稿しているユーザーを見つけた場合、 投稿内容を引用(リポスト)して、積極的にユーザーとのコミュニケーションを図ることに努めています。
さらに、GUは自社の服を愛用しているユーザーのためのコミュニティサイト「ジーユーマニア」を開設し、 会員になったユーザーは「#GUMANIA」というハッシュタグをつけた投稿をすると、 コーディネート写真が紹介される仕組みを作りました。
それにより、ユーザーとの距離が縮まり、さらに自社への愛着を強めることに結びついています。
HIS
TwitterやInstagramで「100個割」という学生対象の割引を行っています。
100個のユニークな条件が用意されており、そのテーマに沿った画像をSNSに投稿してもらう代わりに店舗に来てもらうことで、旅行代金の割引キャンペーンを行っています。
この方法のポイントは、SNSを日常的に利用している若年層にターゲットを絞り、かつユーザーが楽しめるキャンペーンになっている点です。
まとめ
SNSやアプリでの集客は、取り組みが注目されればされるほど、 大勢の人の目につきやすいことから、大きな反響を呼ぶことができると言えます。
集客を行う媒体によって、様々なプロモーションを展開できるので、 取り組む際はぜひ自社の製品やサービスの特性や課題を知ったうえで、最も効果的な方法で行うようにしましょう。