モノとインターネットをつなげる技術であるIoT(Internet of Things)。
代表的なものとしてスマート家電があげられます。
現在、他にもさまざまなモノがインターネットと接続され、便利な世の中になっているので一度はIotという言葉を聞いたことがあると思います。
しかし聞いたことはあってもIoTの意味やできることメリットやデメリットについてきちんと理解しているでしょうか?
この記事では、今後ますますの普及が予想されるIoTについて、メリット・デメリット、スマートフォンとの連携や実際の活用事例を含めてご紹介します。
IoTと連携するサービスやアプリの制作を検討する際にはぜひ参考にしてみてください。
目次
IOTとは?
IoTは「モノのインターネット」と呼ばれています。
「モノ」というのはスマホやPCだけでなく、冷蔵庫やバスの停留所まで、とにかくさまざまな「モノ」のことを指します。
そしてインターネットとつながっている「モノ」をつなぐその技術のことをIoTといいます。
厳密にはつながれている「モノ」そのものを指すわけではないところに注意です。
そんなIoTは現代社会で大いに活用されていますし、より一層便利な社会を実現するために発展していくでしょう。
では、IoTとアプリとを連携させることによるメリットには、いったいどのようなものがあるのでしょうか。
メリット
- 利便性の向上
まず、IoTを利用すれば、インターネットに接続したモノ自体を確認することができます。
例えば、家全体のエネルギー使用量をアプリから確認することができたり、インターフォンをインターネットにつなげて留守中の来客を確認したりすることができます。
また、離れた場所から照明を点けたり消したりできたり、家に帰る前に部屋の室温を適温にするためにエアコンを入れたりと、離れた場所から操作できるということもできます。
生活面ではなく企業でも取り入れることのメリットもあります。
例えば今までの技術では活用できなかった古い設備の再活用を可能にします。
アナログだったものをデジタルにすることで、データを一元管理できるように。
そして、機械の稼働状況を瞬時に把握し一括管理することができるので、作業の効率化を図ることができます。
デメリット
- 安全面
便利でメリットが多いIoTとアプリの連携ですが、デメリットもないわけではありません。
たとえば、インターネットにつなげたモノを操作するアプリに登録するために個人情報を登録すれば、インターネットを介して漏洩することもあります。
また、簡単にモノや人を管理することができるということから、閉塞感を抱く人もいるでしょう。
IOT活用事例
Iotが便利であることは理解していただけたと思いますが、よりイメージしやすいように具体的な活用事例のご紹介をします。
サービス
IoTで米の残量検知「米ライフDash」
こちらのサービスはIoTを利用して米の残量低下を検知し、精米したての米を発送するサービスです。
家庭の米びつに残っている米の量を小型センサー「米びつセンサー」で測定し、残量の低下を検知するとスマートフォンの「米ライフDash」アプリに通知。
同時に、前回購入した商品をアプリ画面に表示、数回タッチして発注と決済を終えると、精米したての米が自宅に届きます。
ポットで安否確認「見守りホットライン」
こちらは電気ポットを使用した安否確認サービスで、NTTDoCoMoの電波が届くところならどこでも使えます。
このサービスでは、遠隔地に暮らしている高齢の家族など、電気ポットを日常的に使う高齢者がポットを使用したかどうかがわかるようになっています。
そのため、1日中ポットを使わなかった日は何か問題が起きているのではないか、と家族が把握することができるという仕組みです。
人が「IoTに管理されている」という閉塞感を抱きにくく、さりげない確認が可能になっている点がポイントですね。
排卵日予測「婦人用電子体温」
妊娠するためには毎日基礎体温を計り、排卵日を予測するのが重要である一方で手間もかかりますよね。
それを手軽にしたのがオムロンの婦人用電子体温計です。
測定時間をわずか10秒程度と短くしたほか、取得したデータをBluetoothやNFCを使って簡単にスマートフォンへ転送。
スマートフォン上のアプリでは受け取った基礎体温をグラフ化するだけでなく、排卵日まで予測してくれます。月経のスケジュール管理も可能です。
モノ(IoT家電)
エアコン
IoT家電製品として最も身近な存在なのがエアコンです。
エアコンとスマートフォンをIoT家電アプリで連動させることでより家を快適な空間にすることができます。
例えば、エアコンと連動するIoT家電アプリをスマートフォンにダウンロードしておくと、一人暮らしで家に誰もいない時でも帰宅する前にエアコンをオンにすることができます。
冬は部屋を温め、夏は部屋を冷やしておくといったことが可能です。
照明
リモコンでオン・オフをすることができる照明であれば、IoT家電アプリと連動させて外出先からでもコントロールすることができます。
外出先から照明をつけたり消したりすることができるようになると、長期で家を空ける際などに1日に何時間か照明をつけることができるようになるので、防犯対策にもなります。
また、家の中の照明設備をひとつのアプリでまとめて管理できるようにしておくと、外出前に一部屋ずつ見て回る必要がなくなるので便利です。
傘立て
アプリと連動するIoT家電として代表的なのがエアコンと照明になりますが、最近では生活をちょっと便利にするIoT製品がさまざまなところで活用され始めています。
そのひとつがアプリと連動する傘立てです。
専用のアプリを入れたスマートフォンを持って傘立ての近くにいくと、降水確率に応じてLEDの色が変わり、傘を持っていく必要があるかどうかを教えてくれるようになっています。
IoT家電アプリやスマート家電の詳細はこちらを参考にしてみてください。
IoTプラットフォームとは?
IoTはモノをインターネット化する技術のことでその具体例には様々なサービスや家電があげられるこっとがわかりました。
では、IoTプラットフォームとは何を指しているのでしょうか?
おさらいも兼ねて確認しましょう。
- IOT
IoT(Internet of Things)とは、モノ同士がインターネット経由で繋がることを指す言葉です。
日本では「モノのインターネット」と訳されます。
- プラットフォーム
ビジネス用語ではモノやサービス、利用者や提供者を繋ぐ場所のことを指します。
また、ITの世界ではソフトウェアが動作する土台のことを指します。
- IoTプラットフォーム
IoTプラットフォームとは、IoTを用いたサービスを提供するための「基盤」のことです。
ここで言う「基盤」とは、モノ同士をインターネットに繋ぎ、ユーザーがサービスを利用するためのデバイスやセンサーなどのことを指しています。
IoTプラットフォームでできること
IoTプラットフォームで実現できることは多岐に渡りますが、ここでは主要なものを一部紹介します。
- IOTデバイス同士を接続する
IoTのサービスを実行するにあたり、さまざまなセンサーやデバイスを使います。
現代のセンサーは気象、温度、動き、湿度、生体、などあらゆるコトやモノを検知でき、デバイスは用途によって多種多様な機能を持ち合わせています。
これらのIoTデバイス(センサーなども含む)同士を接続させることにより1つのシステムやサービスが生まれます。
- データ収集
上記でも触れましたが、IoTサービスではあらゆるセンサーやデバイスを用いますが、スマホやPCもそれに該当します。
IoTプラットフォームでは、センサーなどから取得できる膨大な情報を収集することができます。
実例を出すと「自動車ナンバー自動読取装置(Nシステム)」などがそれにあたります。
Nシステムとは、日本の警察が設置する走行中の自動車のナンバープレートを自動で読み取り、手配車両のナンバーと照合するシステムです。犯罪捜査等で活躍しています。
- データ分析
大量のデバイスやセンサーから得た情報を分析し最適な結果を導き出すのもIoTプラットフォームの役割の一つです。
農業などである範囲内に最適な水や肥料を与えたい場合、天候や気温、湿度などをセンサーで読み取り、そこから最適な水やりの量、最適な肥料の量を導き出すことができます。
注意点
IoTプラットフォームはIoTサービスを実現するための「基盤」のことですが、目的は、IoTサービスによりユーザーに価値ある体験やサービスを提供することです。
したがって「モノをインターネットで接続すること」や「いろんなモノにセンサーをつけて情報を集める」だけでは意味がありません。
テクノロジーが重要であることは否定しませんが、あくまでもデータを利用した「価値あるサービス」をどのようにユーザーに提供するかがIoTプラットフォームの本質ということを理解しましょう。
IoTプラットフォームアプリの開発法
では、そのIoTプラットフォームアプリを開発するためにはなにをすればいいのでしょうか。
自社でIoTのアプリ開発ができなければ、ソフトウェア会社をはじめとする外部に委託しなければいけません。
その際にアプリを開発する目的や盛り込みたい機能、要件や条件を伝えるのが「提案依頼書」です。
ソフトウェア会社は提案依頼書を元に具体的な提案と見積りを行います。
提案依頼書に最低限盛り込みたいのはシステムの全体像やサービスの内容、アプリの目的や方針です。
さらに必要な機能を可能な限り具体的に説明するためにせめて画面や操作のイメージなどを図にしておくと分かりやすくなります。
ITコーディネーター協会のホームページでは、こうした提案依頼書(RFP)の見本をpdfファイルで公開しているので活用してみてください。
しかし提案依頼書でソフトウェア会社にアプリ開発の意向を伝えるのは難しいものです。
特に依頼する側がIoTやアプリに疎くて専門的な知識にも乏しい場合は、漠然としたイメージでしか伝わらない場合があります。
箇条書きだけになってしまいその結果、完成したアプリが期待と違うものになって使えなかったり公開できなかったりします。
そういったことを防ぐためにも課題にしてソフトウェア会社に考えてもらうのも一つの手です。
その際には予算や完成までのスケジュールも忘れてはいけません。
スケジュールや役割分担などについてはこちらが便利ですよ。「サービス品質合意書(SLA)」
IoTプラットフォームアプリ開発で失敗しないための、始める前に知っておくべき情報・目的を明確にするためのステップを「アプリ開発虎の巻」を公開中!
興味がある方はこちらを参考にしてアプリ開発に役立ててください。
【番外編】スマートシティ(バルセロナシティ)
街全体でIoTを活用し、さまざまな情報の見える化を実現している例があるのをご存知ですか?
スペイン最大の都市の1つであるバルセロナシティ(バルセロナ)での取り組みです。
バルセロナシティはマイクロソフト社と提携して、街にあるあらゆるモノをインターネットに接続し、さまざまな情報を見える化するという「スマートシティ」の最先端を走っている都市です。
駐車場
バルセロナシティの駐車場にはセンサーが取り付けられており、駐車場が空いているかどうかを運転手がスムーズに知ることができるシステムが確立されています。
駐車場を利用する運転手は、空いている駐車場を探して街を無駄にぐるぐると運転する必要がありませんし、駐車場の経営をしている人は駐車場の稼働率が高まるため、収入を増やすことができるので、双方にとってメリットがあるというわけです。
水道
水道などのインフラではスマートメーターを設置しています。
スマートメーターとアプリを接続すれば、水道の使用量をリアルタイムで知ることができますし、異常があればアプリが利用者に知らせてくれます。
インフラに関するトラブルを最小限にするためにも、スマートメーターは大きな役割を果たしているのです。
ごみ収集
そして、バルセロナシティではゴミ収集もIoTによって効率化されています。
それぞれのゴミ収集所にはゴミの量やゴミの腐敗度を調べるためのセンサーがついており、回収の必要があると判断された収集所にのみ回収車が向かうのです。
この取り組みによって、バルセロナシティはゴミ処理の費用を大幅に削減できたのです。
街全体をスマートシティ化するには、初期投資がかなりかかります。
しかし、初期投資を超える額の費用の削減ができたり、住民がストレスなくスマートに住めるという価値を生み出すことができたりと、リターンも大きいのですね。
まとめ
いかがでしたか。
IoTとは技術のことを指し、それを活用したサービス・モノの存在や、IoTとアプリ連携についても理解できたと思います。
近い将来、今より日本もバルセロナシティのようにIoT化が進むと考えられます。
そのためにこの記事を読み直してIoTに関して完全に理解するのは今後に役立つかもしれません。
そして便利なスマート家電の購入やIoT連携アプリの開発を検討をしてみてください。